最終号に寄せて

 1998年12月この通信の第1号を発行してから7年半、今回で60号になります。この間たくさんの方との出会いがあり、そして若い命との別れも幾度かありました。楽しいこと、うれしいこと、辛いことなどたくさんのことがあるなかで、いつも私たちを支えてくれたのは、読者のみなさんです。ほんとうに感謝、感謝の7年半でした。この7年半の間に私たちスタッフも大きく成長することができ、それぞれが次のステップへと踏み出しています。そのようなこともあり、この通信は今回で最終号となります。
 この通信を発行することで、私たちは、不登校を生きるうえでの一つの選択肢と考え、不登校ということで子どもが出したメッセージを大人がしっかりと受け止める必要があるということを発信してきました。また、不登校や引きこもりの当事者やその家族が自分の悩みや苦しみを吐き出せる場としてこの通信に寄稿してくれたことも、この通信の果たす役割は大きいものだったように思います。しかし、この通信に寄稿してくれたのは、当事者とその家族だけではありません。常にそれを支えて支援していこうという教育、医療関係者をはじめたくさんの方々がいました。つまり、この通信は当事者からの一方的な発信ではなく、第3者の方の意見も多く取り入れて、社会全体で支えるという姿勢を大切にしてきたのです。このようなことが、この通信の読者を広げて米沢市だけではなく、全国に600部を発送するほどになったように思われます。
 「不登校の子と親を支援する会KISS」は今後「聞きたい聞いてほしいホントのこと」の発行からフリースペース「ネコの会」の開設へと活動を移行していきます。いままで“移動型フリースペースネコの会”として各地で開いていたものを、今回、固定型のフリースペースとして高畠町にオープンすることになりました。今までみなさんにいただいたカンパなどは、そのままこのフリースペースの運営に使わせていただきます。もちろん、今まで同様、当事者やその家族、支援する方々の意見はフリースペースの機関紙として発信していきたいと考えています。
 フリースペース「ネコの会」は、不登校や引きこもりの当事者だけが参加する場所ではなく、今まで同様、年齢、職業、性別に関係なくだれもが参加し、いろいろな人たちで作っていくひとつのコミュニティーをめざしています。ぜひ、お近くにおいでの際はお気軽にお立ち寄りください。そして、これからもかわらないご支援をお願いいたします。 
               不登校の子と親を支援する会KISS代表 新藤 明美
        「聞きたい聞いてほしいホントのこと」通信60号2006年4月発行より